東京高等裁判所 昭和32年(ネ)255号 判決
まず被控訴人の当事者としての適格が争われているからこの点について判断する。
被控訴組合が昭和二十三年一月二十日当時の千葉県海上郡飯岡岬から同県長生郡東浪見付村までの間における地曳網漁業経営者百四十五人が結成した資材購入、漁業の指導育成を業務の目的とした民法上の契約による組合であることは当事者間に争ないところである。しかして昭和二十三年法律第二四二号水産業協同組合法が昭和二十四年二月十五日から施行されたことは公知の事実であり、同法第三条第二項によると、同日以降同法によつて設立せられた法人たる組合外のものはその名称中に漁業組合なる文字を使用することを禁じられ、したがつて被控訴人がその名称中に漁業協同組合の文字を用いつづけることは違法となつたこと、また旧水産業団体法(昭和十八年法律第四十七号)による法人たる水産業団体が、前示水産業協同組合法と同時に制定施行された水産業協同組合法の制定に伴う水産業団体の整理等に関する法律(昭和二三年法律第二四三号)により同法律施行の日から八ケ月を経過した時に解散するべきものと定められたことは明かであるが、被控訴組合のように、前記水産業団体法による法人ではなく、当事者の合意により設立した民法上の組合が、前記各法律の施行によつて直ちに消滅せしめられるものとするなんらの法律上の根拠はない。
それならば、被控訴組合は民事訴訟法第四六条にいわゆる代表者の定める社団としてその組合長である斎藤伸吉を代表者として本訴を提起する資格あるものというべく、本件組合がすでに解散したことを前提として当事者の適格をうんぬんする控訴人の主張は採用の限りではない。
(藤江 谷口 浅沼)